天才
「天才」（てんさい）は、石原慎太郎が記した政治をテーマにした小説です。
内閣総理大臣をつとめた田中角栄を主人公とし、田中を「俺」という一人称で
記した自伝風に書き上げた小説です。
作家の石原慎太郎は国会議員時代、田中角栄との関係は常識を超える金権政治
田中角栄批判の急先鋒であり、田中の政治的な活動に対して厳しい意見を
持っていました。しかし、後に『天才』という小説を執筆する際に、田中を
主人公として取り上げ、彼の業績を見直す内容になりました。
あらすじ
この作品は、田中角栄の生涯を描いており、幼少期の貧しい時代、
小学校高等部で進学をあきらめて、裸一貫、土木業を始めて、、懸命に
働き、東京に土建業を立ち上げた。きっかけを足掛かりに政界入りし、
総理大臣までの道のり、日中国交正常化の経緯、角福戦争の内幕、
ロッキード事件の真相、田中派分裂の舞台裏、家族との軋轢、表舞台を降りた後も
目白の闇将軍と言われた彼の汗と金と涙で彩られた人生を描いています。
懐の大きさと先を見抜く力
石原慎太郎の文体は、田中角栄の一度会えば人柄に引き込まれる強烈な個性や、
義理人情に厚く、交渉の駆け引きの上手さ、大胆さの描写とナレーションの
語り口が段々田中角栄の声に重なって聴こえてくるようで読者を独特な角栄の
世界へ引き込まれていきます。
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